
大手SIerっていっぱいあるけどどう違うのかわからない!
ユーザ系・メーカ系・独立系で会社の特徴が違うけど、働いている人はどう感じるの??
という悩みに答えます!
私が就活をしているとき、様々な大手SIerを検討しました。
しかし、正直なところ業界研究をしたって表面的な部分しかわからずそれぞれの会社のイメージが掴めませんでした。
そこで本記事では、現役SEである霞が関SEせいやが大手SIerをランキング形式で紹介しつつ企業戦略や強みを就活生・転職希望者向けに解説します。
大手SIer一覧(IT業界ランキング)
先ずは数字ベースで各会社を見てみましょう。
大手SIer(日系)売上ランキング TOP10
- 富士通 (3兆527億円)
*テクノロジーソリューション部門 - NTTデータ (2兆1171億円)
- 日立製作所 (2兆89億円)
*情報・通信システム部門 - NEC (7143億円)
*システムプラットフォーム事業 - 大塚商会 (6912億円)
- 野村総合研究所 (4714億円)
- 伊藤忠テクノソリューションズ (4296億円)
- TIS (4056億円)
- SCSK (3367億円)
- 日本ユニシス (2870億円)
こちらは、2017年度の大手SIer売上ランキング(日系企業)です。
企業がどのくらいの案件を請け負っているかの指標「売上」についてランキングしたもので、SIer業務以外の事業を持っている企業に関しては、SIer業務を行なっている事業部の売上を出しています。
売上高の軍配は規模の経済が使えるメーカー系にあります。
製品とシステムの抱き合わせ商法が使えますし、初期費用を割り引いてランニングコストで稼ぐ・製品の宣伝費用と割り切るなどの手法で通常よりかなり低価格で案件を提示出来るのはメーカー系の強みですね。
NTTデータは独立系なのに売上が高いです。
これはユーザー系の親会社から安定した受注や、メーカー系の抱き合わせ商法とは違い、官公庁・銀行などの大型顧客からの売上があるためです。
また、海外の企業をM&Aしたため売上高が急上昇している側面もあります。
- メーカー系(日立製作所・富士通・NEC)は売上高 大
→製品とシステムのセット販売で品質・価格競争力が高い - 独立系でもNTTデータは売上高 大
→M&Aで海外売上高が向上中。電電公社時代からの付き合いで官公庁からの売上が安定。 - ユーザー系(野村総合研究所など)は安定した売上高
→お客様が親会社であるユーザー系は受注が確定しているので売上高が安定
大手SIer(日系)利益率ランキング
- 野村総合研究所 13.8%
- SCSK 10.3%
- TIS 8.06%
- 伊藤忠テクノソリューションズ 7.59%
- 日立製作所 6.93%
- 大塚商会 6.42%
- 富士通 5.98%
- NTTデータ 5.83%
- 日本ユニシス 5.68%
- NEC 4.40%
今度は大手SIer売上ランキングTOP10の企業に対して各社の利益率を見てみましょう。
利益率は利益を売上で割ったもので、「企業がどのくらい効率よく稼いでいるか」という稼ぐ力を示しています。
野村総合研究所、SCSK(住友商事系)などのユーザー系で利益率が高いですね。
高い利益率の要因は強みが明確であることでしょう。
野村総合研究所なら金融ソリューションとコンサルティング、SCSKはERPと言った具体に、この会社はこれ!と言う金の成る木を持っています。
※企業分析手法:PPM分析の図
逆にメーカー系・NTTデータは一転利益率が低いです。
売上高を向上させるための投資やグローバル戦略・顧客開拓に費用を使っていることが要因です。
現在利益率が高い仕事に注力するのではなく、今は利益率が低くても将来のために投資を惜しまない企業戦略が見えますね。
- ユーザー系(野村総合研究所など)は利益率 高
→強みが明確で金の成る木(商品)を持っている。 - メーカー系・NTTデータは利益率 低
→売上高と利益率はトレードオフ。
国内・グローバルのプレゼンス(社会的地位)を向上させる戦略。
大手SIer(日系)年収ランキング TOP10
- 野村総合研究所 1151万円
※ユーザー系 - 電通国際情報サービス 973万円 ※ユーザー系
- オービック 851万円 ※独立系
- 日立製作所 850万円 ※メーカー系
- 日鉄ソリューションズ 835万円 ※ユーザー系
- NTTデータ 812万円 ※独立系
- 大塚商会 806万円 ※ユーザー系
- NEC 805万円 ※メーカー系
- 伊藤忠テクノソリューションズ 802万円 ※ユーザー系
- 富士通 797万円 ※メーカー系
こちらは大手SIer(日系)の年収ランキングです。
就職した際に貰える給料は数十年間続ける仕事選びにおいて極めて重要です。
就職生・転職希望者も気になる方は多いのではないでしょうか。
基本的には売上ランキングのTOP10が軒を連ねていますね。
ここで注目したいのポイントは2つ。
1つ目のポイントは、何といっても野村総合研究所。
他を寄せ付けない圧倒的な1位で、日本のすべての企業の中でもTOP 1%の高水準です。
野村総合研究所の年収が高い理由
- 利益率が高いコンサルタント事業で日本最大手であること。
- 野村HD(親会社)の導入実績を武器に金融分野で強いこと。
※参考資料 2019年3月期第2四半期決算プレゼンテーション
ここまで高級(利益率)を維持するために売上の拡大や海外展開は積極的に行っていません。
野村総合研究所=激務&ブラックと言う噂がいまだに飛び交っていますが、実態は噂ほどではないです。

いま野村総合研究所で8年目のSEだよ。
年収はネットで見るような金額が結構そのままもらえます!
1000万を超えたのはちょうど30歳~31歳の頃かな。
激務であることは間違いないけど、就業管理がかなり厳しいから過労死とかの心配は全社通してないと思う。
残業時間は部署によるけど、無茶なことをする管理職を摘発する仕組みが整っているよ。あと、忙しさは時期によるね。
世間のイメージを踏まえて、一番言いたいのはいい人が多いってこと!
2つ目のポイントは、3位オービックから10位富士通までの差が僅か50万円しかないこと。
平均年齢にもそこまで大きな差はないのですが、大手SIerは何故ここまで給料が似てくるのでしょうか。
SI業界はシステムの工数を「システム作りに必要な人数×期間(月)=人/月」で計算し、「SEの月単価」を工数に掛けることでコストを見積ります。
「SEの月単価」はシステム開発手法を磨いた大手SIerになるほど似たり寄ったりになるので、給料に大きな差が付きにくいのです。
給料は働きがいや生活の幸福度に直結する非常に重要な要素です。
当然貰えるならば高い給料をもらいたいものですし、最近は世の流れとして勤務管理が厳しくなってきているので思い切って年収だけで選ぶのも一手だと思います!
また、給料から事業の好調性やビジネスモデルが見えてきますので希望業界の年収事情は押さえておくべきです。
- 人月単価の高いコンサル系は高給
→コンサルタントは企業との距離が近いため、SEとは人月単価が異なります。
コンサル…250~200(万/人月)
SE…200~150(万/人月)
※大手基準
ただし契約期間が短めなので長期契約を結べる金融&大手コンサルが強い。 - 大手SIer全体で見ると給与格差は少ない
→SIという商売自体「人月」で見積しているため、SEの単価は標準化されて給料も似てくる。
大手SIerランキングまとめ
いかがでしたでしょうか。
一口にシステム開発を行う大手SIerと言っても、様々な企業戦略や強い業界などの特色がありますね。
就職活動や転職では、いかに特色を抑えて他社と差別化出来ているかが鍵となります。
例えば、新卒ならば志望理由になりますし、転職ならアピールポイントを選ぶ観点になるからです。
また、給料は働きがいや生活の幸福度に直結する非常に重要な要素です。
きれいごとではなく人生がかかった職選びですので、貰えるならば高い給料をもらいたいものです。
給料以外にもSIはお客様次第で業務内容がガラリと変わる職種ですので、得られるスキル・勤務体系・会社の将来性も含めて総合的な会社選びと戦略的な就職・転職活動をしていきましょう。
もしこの記事をみて、SIerに就職したい!と感じてくれた就活生がいれば効果的なESの書き方や就活ウケするキャッチーな経験について参考にしてみてください。
また、SIerに転職したい!と感じてくれた転職希望者は、20代向けに特化した転職サービスで一度現状の市場価値と求められているニーズを見てみてください。
SEはになるのは簡単ですが、価値を生み出すには努力が必要です。
そして自分で何かを作り上げる経験を大きな規模で出来るのは大手SIerにしかない魅力だと思います。
興味を持ったらまず行動に移してみると思わぬ好転が待っていますよ。
コメント